薬師岳登山

標高2926m

 

2012年8月29日〜9月1日

 

2007年の夏、黒部五郎岳登山の際、薬師岳も登るはずだったのを、

体調不良のため断念した。今年は北アルプスに行けるだろうか?と

昨年の秋に茅ヶ岳で、足首を骨折したことに不安があったが、

男体山で少し自信をつけて、何とか行く事ができたのであった。

 

8月29日、花も期待できない中途半端な時期・・・

しかも、日本海側へ回り込んだ台風15号の影響が心配なお天気だった。

早朝4時半ごろに家を出発。松本ICから158号線を通り、安房トンネル経由で

平湯温泉卿にある「ひらゆの森」へと向かった。

薬師岳登山口の折立へ行く前に、ここでのんびりと、湯に浸かる。

お昼は此処で、いつもの手打ち蕎麦。久しぶりに蕎麦を食べたーって感じ〜^^

 

有料道路「有峰林道」1800円を支払い、折立へと走る。

薬師岳信仰の村である有峰村は、このダム湖を作るために水没し、

村人は散り散りに各地に移転していったと言う。

 

午後2時半ごろ、折立の駐車場に到着。無料キャンプ場にテントの用意をしようと、

荷物の整理をしていた時のこと。下山してきたご夫婦の奥さんに、Q隊長が話しかけていた。

私は会話を聞きながら、懐かしい話し声に「もしかして・・・」と近寄って、お顔を拝見!

何と、ネット仲間の「カケスさんとシジュウカラさんご夫妻」ではありませんか!!

お会いできるとは思っていなかったので、物凄く感激して嬉しくて〜o(*^▽^*)o

偶然の出会いに感謝したのでありました。別れを惜しみながら、その後テントを設営。

なにやら怪しい空模様・・・

Q隊長の知人から携帯に連絡が。前日に、「三角点で、熊の親子が

登山道を、悠々と歩いていたので、充分注意してよ」との事だった。

この広いテント場にも現れるとのこと。隅の方にテントが3張りあったが、

管理人さんに、そこは熊が出やすいので、真ん中に来るようにと言われて

移動してきた。なんだか恐ろしいような〜寝られるんだろうかと、不安であった。

管理人曰く、「まだ襲われた登山者はいない」そうだ・・・

とにかく調理した後は、少しも残飯は残さずが鉄則である。

 

車を寝泊りできるように改造されている登山者も多く、その中で親しくなった

自称、「熊討ち名人」なる方と、話が弾んだ。Q隊長が大事に持ってきた焼酎を

二人であっという間に飲み干してしまった。明日の歩き、大丈夫なんだろうかと呆れた隊員。

夕食は、クーラーボックスに入れてきた肉と野菜で焼きソバを作り、

一緒に楽しいひとときを過ごした。草の床、寝心地最高〜〜

熊のことはすっかり忘れて、ぐっすりと眠ったのであった。

 

30日(木曜)の午前4時45分に、ヘッドライトを点けて出発。

昨夜千鳥足だった熊討ち名人も、すっかりお元気な様子だったが・・・後から出発された。

  

AM6:39 前方が明るくなってきてた。少し期待感が。秋の気配を感じる中で、花が咲き残っていた。

 

  

左は8月から9月に咲く「イワショウブ」初めて見る花だった。右は「ミヤマママコナ」

 

この見晴らしの良い登山道までは、岩ゴロ上り坂の樹林帯で、虫が気になった。

前方に青空が見え始めた。清々しい空気を吸いながら、苦しいことは忘れてしまう^^

 

三角点(1871m)を過ぎると、展望が開け、剣岳の雄姿が!

曇り空の中でちょっと残念だが、素晴らしい!!

 

  

オヤマリンドウの花が、登山道の脇に沢山咲いていて、こころ癒してくれる。右=ミヤマリンドウ

 

ミヤマアキノキリンソウ  あちらこちらに沢山咲いていた。

 

白山はいつも雲の上に浮かんでいる。この日はかなり良く見えた。

五光岩ベンチの先から、草地の中に造られた木道と石敷きの道を歩く。

右の山は「太郎山」 太郎平小屋もあと少し。青空が広がり、身も心も軽くなる〜♪

ところが、この少し前に大きな熊が30m先の道を、凄い速さで横切ったのである。

Q隊長が、大きな声で「熊だーー!!」って叫んだ。

野生の熊を見たのは、人生始まって以来のことだとか。

あずさ隊員だけは、何が何だか分からず回りをキョロキョロ

去っていった後だった。「冗談でしょー」って笑ったら、

後ろから歩いていたご夫婦も見たと言う。(いつもからかうからね〜)

しかも子連れだったそうな。見たかったな〜(ほんと?)んー残念。

 

 

8時47分に太郎兵衛平に無事到着。

深田久弥が「この厖大な山は、行けども行けども、頂上はなおその先にあった。」と

山の大きさを描いている。その通り、大きく優美な薬師岳であった。

見渡す限り、百名山の名峰がずらり!右は水晶岳

 

 

位置を変えて、鷲羽岳と。右は黒部五郎岳!懐かしい山々にご挨拶である。

 

 

黒部五郎岳。その節はどーもm(_ _)m

 

9:13 さあ〜薬師岳へ出発! 空が綺麗だった。

6年前に歩くはずだった道。ワクワクしていた。

 

行きかう登山者も少なく、快適な歩きです。

ハイマツの尾根道から、薬師峠は石ゴロの登り。キャンプ場には

水場があり、冷たい水を汲んでいく。雨が降らず、山荘は水不足とか。

 

  

薬師平は、広い草原と池塘があり、コバイケイソウやニッコウキスゲが、

7月〜8月には花が咲き乱れていたことでしょう。

  

 今はオヤマリンドウが咲き誇っています。まだ遅れて咲いたニッコウキスゲが可憐です。

 

チングルマの群落も今はワタゲ。もう少し経てば、紅葉で大地を赤く染める事でしょう。

 

  

左=ミヤマリンドウ       右=ピンク色のチングルマのワタゲ

 

  

左=まだ残っていたウサギギク。    右=ハクサンフウロ(もっと色鮮やかだったのになぁ・・・)

 

  

左=吃驚したのが、ハクサンイチゲが僅かながら咲いていたこと。そして 右=チングルマが一輪!

まるで私を待っていてくれたかのように〜感激、感謝!

それなのに綺麗に撮れなくて・・・(-_-;)ゴメン

 

  

トウヤクリンドウイワツメクサ

こんなに花に恵まれて、楽しい山歩きができて嬉しい限りだった。

 

  

私は、この優しげなトウヤクリンドウが好き。

 

黙々と歩く中、薬師岳山荘が、いきなり現れた。なんか立派・・・

 

  

2年前に新しく立て直し、清潔で、良い木の香りがする快適な山荘だった。

Q隊長は、早速ビール!私は白玉あんみつ。でも黒蜜があったらな〜と・・・

 

    

食堂の窓から外を見ていたら、誰かがオコジョがいると言うので、

カメラを持って近くに寄ってみた。ちょこちょこ動き回り、なかなか撮れなかったが、

やっと撮る事ができた。小さくて可愛いお姿♪

そして今度は〜

 

雷鳥の親子が現れた!雛が五羽いたそうだが、私は三羽しか確認できなかった。

この日は、熊、オコジョ、雷鳥の親子と、ご褒美?三昧 v(*^▽^*)v

 

雛はかなり大きく成長していた。見張りをしているのがお母さんだね。

遊んでもらっているうちに、夕食の時間。この日の宿泊数は34名?と

人数を数えていたご夫婦が、教えてくださった(笑)

心の篭った美味しいおかずと、ご飯が美味しかった〜おかわりもして、満腹状態。

食後は談話室で、楽しい語らい。誰かが、外へ出てきて〜と騒いでいた。

 

 

あっと言う間に日は落ちて行く。見事な夕焼けだった。その横では大きな虹が出ていた。

私は撮れなかったが、目に焼きついている。

再び談話室で、話が弾む。奈良のご夫婦。東京町田のご夫婦。

私達よりご年配なのに、凄い健脚なのだ。

若い夫婦で、奥さんの方が旦那さんを山に誘ったというカップルもいた。

単独の男性や女性。皆、山をこよなく愛して止まない人達である。

テレビで明日の天気予報があまり良くない。Qお天気おじさん曰く、

朝のうちの数時間は晴れると予報。私は期待していた。

 

部屋の窓から、富山市内の町明かり。枕を積んで、その上にカメラを載せて

三脚代わり。奈良のご主人に教えてもらいながら撮ったが、上手くいかない/(^_^;)

一日の疲れがどっときて、あっと言う間に眠りについた。

 

31日(金曜)午前3時半ごろ起床。

(昨日は、ガスっていたために登頂を諦め、翌朝、もし晴れていなくても登ることに。)

月が煌々と空を照らし、星達は遠く輝き、オリオン座もはっきりと見ることができた。

もう〜これ以上の幸せはないと、支度を早める。サブザックに雨具と行動食。

防寒着は着てカメラを持ち、4時10分頃にヘッドライトをつけて出発。

5時、薬師岳登頂。空は晴れて、素晴らしい眺望である。

 

5時17分 ご来光である。(−人−)

カメラを岩の上に固定して、何回もシャッターを切った。

神々しい静寂な時間。声も出ない。

 

  

山頂でご来光を浴びながら。社の前で。

 

 立山と奥に剣岳。

 金作谷カールは、迫力がある。右後方には、立山、剣岳が。

 

槍ケ岳と穂高連峰。滝雲が美しい。

何時までも見飽きない風景、絶景だった。

 

 

 黒部五郎岳に雲が掛かってきた。

 そろそろ、天気予報どおりにガスってくるかも〜〜

もう少し山頂で景色を楽しみたいところだったが、朝食の時間が・・・

 

 

  

朝食を終えて、山荘ともお別れの時。部屋の布団は、いつの間にか畳まれていた。

お世話になりました。

身支度をして、奈良のご夫婦と単独の女性と一緒に下山開始。

お喋りしながらの楽しい道連れであった。

花の写真に夢中な奥さんとあずさ隊員は、つい遅れがち・・・

  

 左はタカネヨモギかな?右のウサギギクも、別れを惜しんでいるよう〜

 

  

ヨツバシオガマも、まだ綺麗な花が残っていた。朝露が葉についたチングルマのそう果

 

  

左=エゾシオガマ(残り僅かな花が・・・) 右=ウメバチソウ(時間があったらな〜ゆっくり撮れない・・・)

熊が恐いからと、単独女性はQ隊長の後ろにぴったり着いて歩く。

隊員は見えなくなるくらい離されて・・・オイオイである。足の遅い者同士、必死に下山。

遠く、太郎平小屋が見えてきた。その先は熊の棲みかだ。

 

  

薬師峠のテント場。また冷たい水をペットボトルに。ついでに顔を洗った。

薬師岳山荘では、水不足で洗えなかったので、最高に気持ち良かった。

 

  

 イワショウブオヤマリンドウが一面咲く薬師平

太郎兵衛平で、休憩。皆で記念写真を撮りあった。

今回は行きも帰りも、鈴を鳴らし通した。

 蛙君、もう直ぐ冬眠かな?動かず、じっとしていた。

 

  

五光岩ベンチに9時5分着。辺りをキョロキョロ。熊さんに出会わず、ほっとする。

右は、葉を調べるとアカモノだと思う。

 

  

左=ゴゼンタチバナの実が可愛かった。 右=マイズルソウの実

もっと沢山の花や実があったのかもでしょうが、探す時間もあまり無く。

最後の急な下りは、足を滑らせないように必死だった。

もう直ぐ折立という所で、獣の強烈な臭いがしたとQ隊長。

私と奥さんは臭わなかった。きっと近くにいたのでしょうね。恐!(>_<)

途中から雨が降り出したが、樹林の中だったのであまり濡れずにすんだ。

 

ブログを作ってらっしゃる奈良のご夫婦とメールアドレスを教え合う。

折立に無事到着!雨も上がり、ザックなど片付けて「ひらゆの森」へ向かうはずだった。。。

奈良のご夫婦は、これから富山の「おわら風の盆」祭りを見に行くとのこと。

楽しいひとときをご一緒頂いたことに感謝しつつ、お別れした。

もう一人の女性も、「ひらゆの森」へ行くそうで、またお会いしましょうと、先に車を走らせた。

 

ところが、Q隊長、「1日の天気は良くないので、焼岳は中止する。」と宣言!ええーーと隊員。

仕方なく携帯で連絡。中の湯温泉の宿泊を一日繰り上げてもらうことになった。

これが正解だったのだと、思うことにしよう (*”_”*)

 

有峰林道を走っていると、また熊に遭遇。今度は小熊2頭だった。

母親がきっと、小熊が道を渡るのを見守りながら反対側で見ていたに違いありません。

車を止めて、じっと見ていました。残念ながら、カメラは仕舞っていたので撮れず・・・

一頭が渡り終えると、またウロウロしながらもう一頭が、よちよち歩き。

思わず、かわいい〜〜なんて、ハハハ・・・

 

 帰りは、有料の安房トンネルを通らず、安房峠を走った。

落石が多いそうだが、原因の一つに

カモシカが歩く時に、石を落とすことがあるそうだ。

安房峠から、穂高が!生憎山頂は雲に覆われていたが、やはり感動する。

嫌な黒い雲も・・・

 

 午後3時近くに中の湯へ到着。さっそく温泉である。

綺麗に洗い流してから、露天に浸かる。至福の時間。。。

本当は、今夜はひら湯のキャンプ場でテント泊だったのにな〜

何時になったら焼岳に登れるんでしょうかね・・・と呟く隊員であった。

 

偶然にも、薬師岳山荘で過ごした、町田のご夫婦とお会いした。

夕食の席も一緒にしてもらい、またまた話が弾んだのであった。

私達が翌日来る事を知っていたので、吃驚されていた。

雨が降り出したかと思うと、先が真っ白になる位の豪雨と雷。

今頃、山はどうなっているんだろうと、心配だった。

下山途中、かなりの人数の登山者とすれ違ったし・・・

 

1日(土曜)朝晴れていたが、直ぐに曇り空に。

町田のご夫婦は、これから「岐阜の郡上八幡踊り」を見に行くとのこと。

またお会いできると良いですねと、お別れした。

 

涼しく、居心地の良い時ともお別れ。

我が家に近づくにつれ、蒸暑さが増していった。

嬉しい出会いと、かわいい出会い。

恐い遭遇もありの、本当に色々あった薬師岳登山だった。