北アルプスへの一歩

 

私が初めて北アルプスに登りたい願望にそそられたのは、

夫Q隊長が、若い頃に登った北アルプスの話、

高山植物の美しさを熱く語っていたからである。

子育ても終わり、やっと自分を見つめる時期がきた。

山を見たり、自然の中を歩くのは前から好きである。

中学生の時に那須連山の茶臼岳に登ったのが初めての登山。

無謀にも50歳を過ぎてからの北アルプスへの挑戦!

Q隊長も、30年ぶりのことだった。

この年7月20日を海の日とし、祭日となった。

梅雨明けのこの日は統計的に晴れが多い。

そして、日程が決まった。2001年7月20〜23日

(山小屋2泊・上高地温泉ホテル1泊)

人気の北アルプス表銀座縦走。燕岳・大天井岳・常念岳・蝶ヶ岳である。

 

 7月19日

   新宿発アルプス4号23:50に乗るため、午後9時に列車ホームの列に並んだ。

登山者の多さに吃驚した。梅雨明けのこの時期が夏山が一番混むのだ。

        高山植物が咲き始め、晴れていれば素晴らしい眺望が期待される。

        待つこと3時間近く、近くの方達とも山の話で盛り上がる。

        私達の前に並んでいた若い男女は学生さんで、

これから山小屋のアルバイトへ行くのだと言う。

        「8月25日まで常念小屋にいますので、是非寄ってください」と、

二人が笑顔で言った。会えるといいな〜と思った。

        私達と同年代の女性は一人。「現地で仲間と合流するんです。」と。

そしてあっという間に長い列ができた。

        座席は確保できたが、超満員で、通路も足の踏み場もない。

 

        発車時刻になっても、乗れずにホームでウロウロする登山者もいた。

     3連休は会社員にとっては、山行きにもってこいの休み!

もちろん、私もだ。発車しても途中の駅で15分位停車する。

        私は興奮しているせいもあって、目が冴えていた。

       

 

 7月20日

 朝4時52分、穂高駅に到着。タクシーで中房温泉へ向かう。

その時は乗り合いだと安いので、もう二人の登山者と一緒だった。

        6時に登山口より出発。初めて背負う大きな重いザック。

一睡もしていないので眠かったが、なぜか最初は足も軽かった。

        しかし〜急登に息も苦しくなり、足も重くなる。

Q隊長が大丈夫かと声をかけてくれる。

やっとのことで合戦小屋に到着した。

 

沢山の登山者で溢れていた。スイカが一切れ800円で売られていた。

でも、青りんごを一つ買い、半分にして食べたが美味しくなかった。

一休みが疲れをちょっとだけ取ってくれた。

   ここから更に急登!心臓がバクバクする。苦しかったが、

山が見えてくると嬉しくて、さっきまでの苦しさが嘘のようだった。

 

      

 

      

  

Q隊長は、花の写真を撮りながら私に花の名前も教えてくれる。

コイワカガミやアオノツガザクラ・・・・

石川県から一人で来ている男性が、Q隊長に話しかけながら一緒に歩く。

やっと燕山荘に到着!

私は今まで見た事が無い雄大な山々の絶景を目の当たりにしたのだった。

 

素晴らしい山々の雄大さに、圧倒されているあずさ隊員。感激で言葉もでない。

この景色を見せたかったとQ隊長。 

 

 

少し雲はあったものの、ピーカンの空に何処までも山々が連なっていた。

 

今回は、燕岳へは登らなかった。残念だった。でも、付近には可愛いコマクサが沢山!

 

大天井岳に向けて出発!素晴らしい尾根歩きの始まりです。

花の写真を撮るのに夢中なQ隊長の作品。「ペンタックス一眼レフ」

(全てフイルム。写真をスキャンして取り込む。)

ミヤマキンポウゲ

初めて見る高山植物に感激し、思わず感嘆の声を発しながら歩く隊員。

周りの登山者に笑われていたかも〜〜(*^_^*)

 

チングルマ

 

アオノツガザクラ

 

シナノキンバイ

 

ハクサンシャクナゲ

 

チシマギキョウ

 

ハクサンイチゲ

 

ヨツバシオガマ

 

テガタチドリ

 

テングクワガタ

 

サンカヨウ

 

オオヒョウタンボク

 

撮影した場所は不明。(大昔なもので・・・)

 

20日は大天荘に宿泊。当時のことを思い出すのは、トイレが最悪だった事。

小屋から外にあったのだが、臭いがきつかった。

初めての山小屋泊。一つの布団に3人だなんて・・・考えられなかった。

あまり眠れずに一夜を過ごした。どういう訳か、大天荘の写真は無く。

 

21日

食事を終えてから、常念岳へ向けて出発!

辛い事も忘れて、足取りも気分も最高潮だったことだけを覚えている。

 

雪渓を見つけると、下まで降りて行き雪を掴む。

こんな事も初めての経験。本当に楽しかった♪

 

そして、常念小屋で最初に出会った学生さん二人に再会。

二人とも一生懸命に働いていた。青年が撮ってくれた記念の一枚。

大天荘ではなく、常念小屋に泊まれば良かったな〜と思ったのだった。

暫く休んでから、目の前に聳える常念岳へと足を進めた。

 

さあ〜登るぞーってなポーズ。最高のお天気と大パノラマ!

 

まっすぐな登りで、かなり大変だった。最後の登りは大きな岩がゴロゴロ。

山頂は登山者で溢れていた。

 

狭い頂上では写真が撮れませ〜ん。これが精一杯。

断崖絶壁の下を覗くと、ぞーっとしました〜

行動食を食べながら休憩して、下ります。

大きな岩の連続で、足が疲れた。登りだったら大変だな〜と・・・

若い夫婦のお父さんが、赤ちゃんを背負って、登ってくるではありませんか!

私は吃驚仰天!また、小さな子供を連れてる夫婦も。

 

やっとの事で常念岳を下っても、これから蝶ヶ岳へ向かう。

が、ここからが試練の連続だった。

貴重な水が、少なくなって困った。少しづつ喉を潤し凌いだ。

山を幾つ越えたのだろうか、記憶が定かではないが、

大変だった事は確か。登山グループの歌声や、話に励まされたことか。

お花畑に心癒されながら、ヘトヘト歩いた。

ようやく蝶ヶ岳が見えたと思ったら、Q隊が足を速めた。

もう、喉はカラカラ「ビールだ、ビール!」って山小屋に一目散!!

蝶ヶ岳ヒュッテについた途端、生ビールを注文した。

「この世のものとは思えないくらい美味しい〜〜」とぐびぐび c■0^*)

 

蝶ヶ岳ヒュッテもかなりの混み様で、どうやって眠ったのか覚えていない。

大天荘はとても寒かったが、この日は風も無く暖かく感じたくらいだった。

 

22日

ヒュッテ前からのご来光。

穏やかな朝。雲海も美しく、ご来光の神々しさに清められたような気持ちに。

 

蝶ヶ岳ヒュッテ前にて。いよいよ下山です。

徳沢まで、長い道のりが待っているのも知らずに・・・ニコニコ顔^^

 

途中、花を愛でたりしながら下りは楽々〜って気分だった。

妖精の池にて。静かな森の中に本当に妖精がいるようだった。

ギンリョウソウも見つけたが、ブレブレ写真でボツ。

 

その後、長塀尾根歩きは長く感じた。

徳沢までの急な道は、足がガクガク膝も笑う。

徳沢園でゆっくりと休む。その時のソフトクリームの美味しかったこと。

ほっとして休んでいるあずさ隊員。

 

センジュガンビ

 

夜行電車泊、山小屋2泊の山旅は終わった。

清々しい気分だった。

 

河童橋にて。

観光客の多いこと。

達成感と満足感の満面の笑顔である。

 

知らずに、かなり日焼けしていて、首も足も真っ赤だった。

上高地温泉の前の梓川で冷やしていると、レスキュー隊が

ジュースの缶を沢山入れた網を、川の水で冷やしに来た。

話をする中で、この日滑落事故があり、二人が亡くなったと聞いた。

温泉では、足がひりひりして入ることが出来なかった。

 

翌日、松本の駅にて名古屋からいらしたご夫婦と山の話をした。

昨日の事故の時、その場にいらしたとか・・・

40代の男性が、ふらっとして足を滑らせ落ちそうになった時に、

そばにいた70代の男性に掴まり、その老人を巻き込んで

一緒に滑落したと言う。とてもショックな話だった。

 

 こうして、北アルプスに足を踏み入れた時から、

山の虜となり、毎年訪れるようになった。

いつまで歩く事ができるだろうか?

元気でいる限り、山に挨拶に出掛けよう。